【完】遊佐先生の甘い熱






茉白に『何が待ってるんだろうね〜?』って茶化されながら迎えた放課後。



今日は先生のこと待ってみようかなって。
ハロウィンだし。
…それはあやかりたいだけだけど。




終礼終わり、教卓で生徒に捕まってる先生を、教室の前の廊下で待ってみる。




「先生、今度の部活さぁ」



っていう、有意義な質問から。




「先生、指きれ〜い! 触ってもいい?」




っていう、無駄な質問まで。
ていうか、触るな。ダメ。触らせるな。




あー、もう…先生!
なんですんなり触らせちゃうの!



はぁ…。
心做しか、少し泣きそう。




「あんなやつ好きでいて辛くねぇの?」



って、乃蒼。
隣に並んで、触れられたくない質問を、いとも簡単にしてくれちゃう。




辛いよ…。
好きでいるのやめたいって、何度も思った。
でも、今更簡単に気持ちを消せるほど、あたしの想いは安くないの…。




「……でも、楽しいよ」


「…あっそ」




なんて、嘘だけど。
でもホント。



恋ってね、難しいんだよ、乃蒼くん。