あたしの名前は“お前ら”じゃないんですけど…と思いながら振り返ると、水城先生が走って追いつく。
「…なんですか?」
あたしが聞くと、水城先生は息を切らしながら手でパタパタ顔を仰ぐ。
…先生、歳? それとも運動苦手なの?
「なぁ、飛鳥来てた?」
先生の口からとび出た、“飛鳥”という単語に肩が震える。
黙りこくるあたしの代わりに、茉白が「来てたよー」と答えた。
「マジかぁ。…来なくていいって言ったのになぁ」
「え? …先生が呼んだわけじゃないんですか?」
じゃあほんとに…。
飛鳥さんは、自主的に来たってこと?
もうそんなの。…嫌な想像しかできない。
「あ、いや、泰志は来たらいいじゃんって言ってたんだけどな。…こう、騒ぎになるの分かってたし…俺は嫌だったんだけど」
「あー……いま、みんな騒いでるもんね。先生の彼女って」