でも、乃蒼はあたしを責めないでいてくれた。
それが、安心する材料になった。
「…あたし、やっぱり乃蒼とは付き合えないよ」
一息ついて、ちゃんと返事をした。
もう逃げない。
しっかり伝えること、こわいけど…。
「……遊佐のこと、好きだから?」
「うん。……それもあるし、乃蒼とは友達でいたい」
乃蒼。
ちょっとだけ、笑う。
「お前、まじでひどい……」
「酷い?」
「うん。俺、どんな気持ちでお友達やってりゃいーの?」
そっか……。
そうだよね。
じゃあ……乃蒼はもう、友達でいたくないってこと?
「俺と友達のままいるか、付き合うか、どっちか選んでよ…」
わかってる。
乃蒼がいちばん苦しかったこと。
あたしは…。
……それ、でも。
「ごめん。嫌なこと聞いたな。……そんなに、俺と友達がいいんだ?」
何度も、何度も頷いた。
乃蒼が離れていくこともいやで。
先生のことも振り向かせたくて。
……あたしは、なんてワガママな女なんだろう。
「……弥生って、可愛すぎてどうしようもない」
照れながらそう言う乃蒼に、あたしも少しだけドキッとしたのは……ナイショ。