あたしがそう言っても、先生は相変わらず悲しそうな目をする。




「ひどく突き放した方がいいの? 俺…」




極端だよ、先生…。
中途半端なのがよくないの。



余計なこと、何も言わなくていい。



これは…。
もし、あたしが告白したときのための、保険。




「でも、先生のそういうところ…好きだよ」


「…なんだぁ? お前も告白しにきた?」


「まさか」




自傷気味に笑う。
告白なんかしないよ。まだね。



先生。
あたし、先生のこと本当に好きだけど。




振られたくないし、人生をかけた恋だから。
この気持ちを言うには、時期がはやすぎるよね。



いつにしようとか決めてないけど。
それまでに、先生があたしのことを好きになってくれるよう、がんばる。




本気の恋ってね。
下ごしらえが必要。





「先生、大丈夫。…先生は、間違ってないよ」


「…変なの。生徒のくせに生意気!!」




ごめんね。
あたし、先生のこと教師として見てなくて、ごめん。




放課後の教官室にふたりきり。
改めて、この人のこと。
…好きだなぁって、思った。