【完】遊佐先生の甘い熱






自分が振られたみたい。
心、重い。




「バカだなぁ…先生。そんな真面目に返事しなくていいのに」





なんだろ。
あたしまで泣きそう…。



もし。
あたしも、告白したら…。



こんなふうに、あっさり振られちゃう?
どうしよ、耐えられないかも。



やっぱり……気持ちを伝えるなんて、無謀かな。
こんなに言いたいのに。
神様は意地悪だね…。




先生はモテるし、あたしなんか相手にされないの分かってる。
それこそ飛鳥さんみたいな、同年代の女の人がいいに決まってる。



でも…諦めきれないよ。
ね、先生。


本気で生徒からの恋心が迷惑なら、力づくで諦めさせてみて?





「…言ったら楽になった。もう必要以上に話しかけるのやめる。じゃあね」




そういって立ち上がったであろうその子に、先生が投げかけた言葉は。




「待って。…俺も、お前の力になりたい。だから、また話しかけてよ」





あぁ、先生…。
誰にでも、そんなふうに優しくするんだね。



当たり前なんだけど。
当たり前だから、よりショックで。




自分のこと好きでいてくれてる子に、そういう思わせぶりなの、よくない。




結果。
その子は、泣きながら教官室を飛び出していった。
あたしには目もくれず、一目散に。