話も終わったし、そろそろ帰るかってことで、あたしと先生は教官室を出た。
『校門まで送るよ』って言ってくれた先生に甘えて、あと少しだけ一緒にいられるはずだったのに。
「せんせーっ」
先生は、あたしだけのものじゃない。
…分かってるけど、辛い。
後輩の女の子。
にこにこしながら先生に駆け寄る姿。
…かわいい、なぁ。
「どしたぁ? 小田」
小田さん…って言うんだ。
苗字だとしても、他の子の名前を呼ぶ先生を目の前で見て、胸が痛くなる。
「先生に相談があるんだけど…」
小田さんはあたしのほうをチラッとみて、気まずそうにした。
相談ってなんだろう…。
恋愛相談? というか、小田さんも先生のこと好きなんじゃ…。
いろんな想像が頭の中を駆け巡って、気分悪くなる。
あたし、無理して笑った。
「じゃあ、先生。また9月ね!」
「あ、百瀬…っ」
先生の声、はじめて無視した。
廊下を走って外に出る。
子供みたいな嫉妬。
いつまで続くんだろう…。



