「なんてな」
はは…って笑う先生。
もう。本気にしたの、バカみたい!
ずるい。
あたしばっかり翻弄されて…。
「おい、百瀬……ゆでだこみたいだぞ」
「…先生のせいじゃん」
「俺、なんかしたっけ?」
とぼけたように笑わないでよ。
今の発言、ちゃんと脳に刻んだからね。
「まぁ冗談抜きでさ、俺にとって心の支えにはなってるよ、百瀬」
……ああ、もう。
そんなひとことで、ニヤケが止まらない。
ホント?
あたしを必要としてくれてるの、先生?
「……あたしも」
あたしもね。
先生がいないと、ダメ。
好きって言ったところできっと先生は。
女子高生の気持ちなんて所詮…って思うだけだろうけど。
あたしの気持ち、マリアナ海溝よりも深いよ。
もっともっと奥深く。深淵。
だから油断してたら、すぐ奪うよ?
先生の心も、彼女の座も…。
「はは、百瀬はかわいいなぁ」
頭、撫でられた。
……なんて。奪われるのは、あたしのほうかもしれない。



