ーーコンコン。
ノックをすると、中から「はーい」と大好きな先生の声。
ドアを開けて、教官室に足を踏み入れる。
「久しぶりだね、この部屋…」
「そうかぁ? 俺は夏休み中もずっといたからなぁ」
あ、そっか…。
あたしだけなんだね。
たった一か月ぶりってだけで、なんだか懐かしいよ。
「百瀬」
先生に名前を呼ばれてドキッとした。
見つめ合ったまま、あたしもイスに座る。
「課題全部忘れるとはどういうつもりだぁ?」
「……ごめんなさい」
一応、謝るけどね。
先生のお説教、いつも喜んじゃってる。
先生は本気で怒れない。
「そんな百瀬には、教官室の掃除を命じる!!」
「…えぇ…っ」
教官室の、掃除…?
ほんとうに…?
どうしよう、先生。
うれしい。
全然罰になってないよ。
むしろご褒美だよ。