それから、先生と並んで金魚すくいへ向かう。
一人で行けるって言ったんだけど、「人混み危ないから」って、茉白たちのところまで送ってくれることに。
金魚すくいのプールの前でしゃがみこむふたりを発見。
「…あ、弥生もどってきた」
そう言った乃蒼の声に反応して、茉白が顔を上げる。
「おかえりぃ、弥生!」
「ただいま…」
「先生、護衛ごくろうさま」
乃蒼にそう言われた先生は満更でもなさそうに。
「大人として当然だよな」って鼻を高くしてた。かわいい。
「じゃ、また学校でな。出校日忘れんなよ!」
先生はどこかへ行ってしまった。
もう、飛鳥さんのことなんて気にならないくらい…。
先生のことで、頭いっぱい。
「なにか進展あった? 弥生」
「…うん」
「えっ!? 教えて!!」
顔、熱いよ…。
思い出すだけで胸焼けしちゃう。
「先生に、かわいいって言われた…」
それだけだけどね。
あたしにとっては、一大事。
まさか夏祭りで先生に会うとは思わなかったなぁ。
予想外すぎていつもの調子を出せなかったけど…。
先生の私服、かっこよかった。
いつもの青いジャージでも、スーツでもない。
ラフなかっこう。
もっと写真撮ればよかった。
あんな姿…次いつ見れるかわからない。
ねぇ、先生…?
先生も。
もしかしたら、あたしの浴衣姿にドキドキしてくれたかな…。
ううん。
もう何も感じてなくてもいいから。
…かわいいなぁ、くらいには、思ってよ。