嬉しいのに…。
あたしの心は、さっきの光景を思い出してはザワついてる。
飛鳥さんのこと…まだ好きなのが、いやだ。
あたしのこと、生徒としてしか見てないのが、いやだ。
ワガママだよね。
分かってるのに止めらんないの。
先生…あたしのこと、受け止めてくれる?
「百瀬」
「…ん?」
「なんで、泣きそうなの」
雑踏の中でも、先生の声だけははっきり聞こえちゃうよ。
できれば、聞き逃したかったな…。
泣きそう? あたし?
自分でもよく分からない。
嫉妬しすぎて、キャパオーバー。
今のあたしにぴったりな言葉。
「泣かないよ…」
強がった言葉。
先生に、両頬を手で挟まれた。
…え、な、なに。
ドキドキ、鼓動が急加速する。
「教えて。俺、百瀬の泣き顔見たくない」
「っ……」
だ、だって。
先生、これ聞いたら、きっと困るよ?
でも…。
先生のまっすぐな目をみたら。
どうでもよくなって、口走った。



