教官室ではあんなにスムーズに話せるのに。
外で会っただけで、こんなに緊張するの…?
「…とりあえず、行くか?」
「…うん」
先生が一歩先。
あたしは一歩後ろ。
その手、握りたい。
外で繋ぐのはまずいよね。先生…。
もっと、先生に触れたい。
飛鳥さんが触れてきたところ、ぜんぶ上書きしたい。
「1回500円ね!」
射的のおじさんにそう言われて、お金を出す先生。
そんなさり気ない仕草もかっこよくて、クラクラしちゃうよ…。
「百瀬、どれほしい?」
「うーん……あれ」
あたしが指をさしたのは、くまのキーホルダー。
1回5発なんだけど。
──スパンッ
まさかの、一発目で落としちゃった。
先生…かっこいい。
銃を構える姿、こっそり写真に撮ったよ。
毎日見返すね。
「先生、ありがと…」
一生宝物にする。
とってもらったくまをやさしく握って、微笑んだ。



