【完】遊佐先生の甘い熱






「まぁせっかく会ったんだし…射的でもプレゼントしてやるかな」


「え、いいのー?」


「うん。じゃあ飛鳥と十環は先いってて」




先生の言葉に、ずっと黙っていた水城先生も頷いて飛鳥さんと一緒に人混みの中へ消えていった。



このあと……一緒に、花火も見るんだよね。
いやだなぁ。
飛鳥さん、その位置かわってよ。




とか…。
こんな嫉妬ばっかりしてる時点で、勝ち目なんてないのかもしれないけど。





ふたりを見送ったあと、さっきまでノリノリだった茉白も、気まずそうに乃蒼と顔を見合せて…。




「あー…乃蒼くん。やっぱりわたしたちは金魚すくい行こ」


「え? あ、うん…」




ぼーっとしている乃蒼の腕を引いて、あたしたちから遠ざかっていく茉白。



…ふたりきり。
きっと、気を利かせてくれたんだろうけど。




話す言葉も、見当たらないよ…。