「先生、そのひとは?」
茉白。
掘り下げなくていい話もあるんだよ。
…あたし、もうちょっとしんどい。
嫉妬でおかしくなりそう、なんて。
情けなくて笑われるかな…。
「昔からの友達」
先生は、そういって笑った。
…うそつき。
友達なんかじゃないじゃん。
…元カノ。
その響きが、あたしの未熟な心にはひどく重たい。
「大森飛鳥です、はじめまして」
ふわっ…と笑う。
人形みたいな人だった。
写真で見た通り…。
可憐で儚くて、超がつくほど美人。
「飛鳥はなぁ、保育士なんだぞ」
「えー、保育士っぽーい!」
「ちょっと…泰志。初対面なのに恥ずかしいよ」
飛鳥さんはほんのり頬を赤らめた。
“泰志”。
…名前呼び。
あたりまえだよね。
元恋人同士だもん。苗字でなんか呼ぶわけない。



