「まずなにたべる?」
茉白。
色気より食い気?
でも、わかるよ。
お祭りと言えば屋台だよね。
「あたしチョコバナナ」
「じゃあ俺、からあげ棒」
「えー、わたしはいちご飴!」
口々に食べたいものを言って、近いところから順番に。
茉白も乃蒼も、幸せそうに食べるなぁ。
あたしもつられて笑顔になる。
今日だけは、先生のこと忘れられるかも。
「弥生のチョコバナナ、体に悪そう」
「…色だけだもん! 味は一緒だし」
好きなの選んでいいよーって言われたからね。
水色にした。
かわいくない?
バナナを頬張って、茉白の隣を歩く。
3人横並びは危ないから。
乃蒼だけ前を歩いてる。孤高の狼。
「…あ」
ふと。
乃蒼が、声を上げた。
「なにー?」って興味津々な茉白と。
恐る恐る覗く、あたし。
見なければよかった…。
後悔しても、もう遅い。



