「締切、今週末までなのにな」と先生は笑った。
正直…。
綺麗に見繕った飛鳥さんに会わないで欲しい。
いくら結婚するとはいえ…。
先生が、余計好きにならないとは限らない。
不安だよ。
めちゃくちゃね。
でも…。
「先生、飛鳥さんのこと好きなんでしょ?」
「…百瀬?」
「結婚するなんて、いい機会じゃん。飛鳥さんに笑顔でお別れしてきなよ」
子供なのに何生意気なこと言ってんだって思ったかな。
先生。あたし、先生のことは誰よりも分かってあげたいの。
過去と決別するにはもってこいだよ。
…先生は、辛いかもしれないけど…。
「…笑顔かぁ。ハードル高いな」
先生は困ったように笑った。
泣いてもいい。
飛鳥さんへの気持ちに踏ん切りをつけるなら。
先生…。
あたしが、いるよ。
飛鳥さんへの想いを閉じ込めても、あたしがいてあげる。
先生の居場所は…飛鳥さんとの過去、だけじゃないよ。



