「せんせ」
放課後。
約束通り、ひょこっと教官室に顔を覗かせる。
椅子に座ったまま、ゆっくりこっちを向く先生。
大好きな顔…のはずなのに、どこか哀愁漂っていて。
その手には…一枚の、紙が握られていた。
「あぁ、百瀬…。座って」
言われるがままにイスに腰を下ろすけど。
ねぇ、先生…それって。
「…これ、気になる?」
あたしがずっと見ていたせいか、先生は紙をひらひらとさせた。
…だって、それ、あたしも見たことある。
「飛鳥がさ…結婚すんだって」
“飛鳥”。
その名前に、心臓が飛び跳ねた。
結婚…?
飛鳥さんって、今彼氏いたんだ…。
先生…大丈夫なのかな?
平気じゃないよね。絶対…。
それで元気なかったの?
「返事書かなきゃなぁって思うけど、気が進まなくてさ」



