「またかよ。お前、いつまで引きずってんの?」
そんなこと言われてもなぁ。
俺は苦笑いをして誤魔化した。
…飛鳥以上の女なんて、そうそう現れねえよ。
「飛鳥はいい女だったけどさ。もう5年だぜ? そろそろ前向いてほかの女に目向けてみたら?」
…ほかの女、か。
かと言って、大学も卒業した今、なかなか出会いなんてないし。
教師という職業は難しい。
「それにさぁ、お前知ってる?」
いくら百瀬の存在があっても。
俺の頭にはいつも飛鳥がいて…。
百瀬の明るさに救われながら、いつまでも過去の恋愛を忘れられずにいる俺に。
「──飛鳥、結婚するらしいよ」
終止符を打つ、いい機会なのかもしれないと。
そう言い聞かせていなきゃ、自分が自分ではなくなりそうで。
「…そうなんだ」
「家のポスト見てないの? 多分招待状届いてるよ」
いつかはこんな日が来ると思ってた。
その相手は、あのとき俺のあとに付き合ったアイツ?