関係ないよな…百瀬には。
だけど、なぜだか。
聞いて欲しかった。知って欲しかった。
今の俺という人物を作り上げた、大森飛鳥という女のこと。
俺にはもったいないくらい、いい女だったんだって…。
『あたし、先生のために頑張る』
さっき、そう言った百瀬。
それ…どういう意味?
心がざわつくような。
痺れるような。
…変な感覚。
百瀬はただの生徒だし、大丈夫。
「元気なくね?」
声をかけてきたのは、同じ学校の教師で高校時代からの親友である水城十環。
そうだ…。
今は、球技大会の真っ只中。
俺は自分の出番を終えて、体育館で生徒たちを見守っていたところ。
意味もなくジャージの袖をまくって、腕を組んでみたりして。
「ちょっと思い出してて…」
それだけで、十環は全てを理解してくれる。
一緒にいて楽だ。
いつでも、俺が間違っていたときに道を正してくれたのは十環だった。



