18婚~ヤンデレな旦那さまに溺愛されています~


 試験会場の外で遥さんの迎えを待った。

 風が強くて、通り過ぎていく人たちも、寒そうにマフラーをしっかり首に巻いている。


 私は、頭がガンガンしている。

 今は寒気よりも体が茹で上がるくらい熱い。

 息をすると喉が痛くて咳が出る。


 もう試験内容のことは忘れてしまった。

 だけど、あのとき諦めなくてよかったと、今は少しほっとしている。


「秋月!」

 背後から呼びかけられて振り向くと、伊吹くんが立っていた。

 吐く息が白く、彼も寒そうにしている。


「伊吹くん、試験どうだった?」

 と私はあまりはっきりしない頭で訊ねた。


「ああ、なんとか、できたと思う。たぶん」

「そっか。私も……」

 一応全問解いたけど、正直もう頭が働かなくてよくわかっていない。


「一緒に、大学に行けるといいな」

 と伊吹くんが言った。


「そうだね」

 と私は答えた。


「あ、あのさ……」

「うん?」

 伊吹くんが急に俯いて黙った。

 正直、私は頭が茹で上がっている状態なので、伊吹くんの顔もあまり見えていない。

 伊吹くんが何も言わないので不思議に思って声をかけた。


「どうしたの?」

「えっと……あの、ごめんな! 俺が風邪を感染(うつ)したんだ。風邪ひいてるのわかってたのに、秋月と話して……大事な時期なのに」


 なんだか嬉しくなって、私はふふっと笑った。

「伊吹くん、優しいんだね。ありがとう。でも、私の体調管理ができていなかったからだよ。だから、気にしないで」


 伊吹くんは少し笑顔を見せてくれて、それがとても嬉しかった。