「ハ~イ、カット。まどか先輩、お疲れ様でした~」
「あっ……、おっ、お疲れ様……」
まどか先輩はまだ、キッチンに背中をくっつけ固まっている。
目がうつろ。
ぼーっとうわの空状態。
急いで癒しを与えなきゃ、笑顔、笑顔。
「まどか先輩が演技練習に付き合ってくれたおかげで、今度受ける溺愛系ドラマのオーディション、王子様役をゲットできそうな気がしてきたよ~」
「あっ、うん……よかった……それは……」
返答がカタコト。
声が低すぎ。
まどか先輩が、俺の顔を見てくれない。
表情筋が全てストン。
魂を抜かれた、幽霊みたいになっている。
大好きな人に触れたくて、暴走した俺が100%悪いし。
嫌われたくないし。
なんとかして、俺への好感度を跳ね上げないと。
女子が喜んでくれることと言ったら……
えっと、えっと……



