「ほら、こっちこっち」
手を引っ張られてしまったので、流れでキッチンの前まで来てしまいましたが……
「まどか先輩も、これを着てね」
ボケボケで、つい受け取ってしまいましたが……
これって……エプロン?
サックスブルーの。
帷くんも同じものを、手に持っているけど……
本当にいいのかな?
私なんかが、このエプロンを身に着けて。
2枚あるってことは、前カノのものだよね?
世間に公表していないだけで、今カノが使っているものだったりして。
甘い恋の思い出がしみついているとしたら、私の匂いで塗り替えてしまうのは悪い気がするし……
「ねえ、帷くん」
「ん?」
「このエプロン、恋人とお揃いで買ったものじゃないの?」
「えっ?」
「使うのは申し訳ないし、私はエプロンなしでいいよ」
制服にケチャップがプシュッ。
焼肉のタレがブワっ。
なんて調味料が飛び散る料理を、作るわけじゃないしね。



