☆帷side☆



「俺ってあんなに……感情コントロールができない男だったんだなぁ……」


放課後。

人が滅多に通らない、とある細い路地。


「無心で走って、気づいたら好きな先輩の手を掴んでいたとか……」


情けなさ過ぎ。

醜態をさらし過ぎ。


「嫉妬心……ヤバすぎでしょ……」


俺は頭を抱えながら、壁にもたれるようにしゃがみ込む。



視線をずらし、腕時計を確認。

待ち合わせまで、あと15分か。


と言っても、約束をしたわけじゃない。

俺が一方的に、時間と場所を伝えただけ。


まどか先輩は、来てくれるかな?

学校終わりにわざわざ、俺に会いに。


他人のために、駆けまわるような人だからね。

先に予定が入っていたとしても、おかしくはないし。


副総長とRINEを交換して

『今日の放課後、俺に付き合って』

『いいよ』

そんな約束が取り交わされた可能性だって、ゼロじゃない。