「えっと……」 1段下の踊り場に立つ帷くんと、目が合った。 ハッとした顔で、慌てて掴んでいた私の手を離してくれたけれど。 気まずそうにうつむく、その姿。 普段の『余裕たっぷりニコニコ王子様』とは、かけ離れすぎていることに、違和感ありあり。 「とばり……くん……?」 私の戸惑う声に反応したのか、ガッと顔を上げた帷くん。 すでに、雑誌で見る大人っぽいモデル笑顔に戻っていて。 ――さっきまでの悲しそうな顔は、何だったんだろう? モヤモヤが、私の脳内に広がってしまう。