帷くんは秘め事が大好きらしい


さてさて、私も早く音楽室に行かなきゃな。

片手で教科書を抱え、階段をのぼる。


モモちゃんが体育祭のチアメンバーに立候補してくれたこと、意外だったなぁ。

『ダンス無理。目立つの無理』って、スルーすると思ってたのに。


モヤモヤな思考回路のまま、2段目のステップに足をかけたと同時、私の手首がいきなり後ろに引っ張られた。


えっ? 

何?

体が後ろに傾いていくんですけど。


足の踏ん張りがきかなかったのは、睡眠時間が足りていないせいかもしれない。

音楽の教科書よりも自分の体の方が大事で。


そうだ、手すり!


私は教科書を手放し、階段の手すりをキャッチ。

なんとか後ろに倒れずセーフ。

ふぅぅ~、とりあえず一安心。



「あっ、ごめん……」


私の背後から聞こえてきたのは、震え声だった。


焦っているような。

申し訳なく、シュンとしているような……