辛い時には、大好きな人に泣きついて。
素直に甘えて。
優しく慰めてもらおう。
そうすればきっと私は、何度でも立ち上がれると思うから。
『まどか先輩、どこにいますか?』
グラウンドから聞こえる、マイクの声。
一生独占させて欲しいくらい、大好きな声。
早く伝えたい。
私の中で燃え滾っている、熱い恋心を。
私は立ち上がった。
みんなから嫌われる覚悟を、ハートに埋め込んで。
帷くんの瞳色の青いハチマキを頭に巻き、ぎゅっと縛る。
黄金に色づく銀杏の葉を乗せた秋風に、背中を押されなから
――大好きな人のところへ行こう。
私はグラウンドに向かって走りだした。