楕円形のコースの内側、グラウンドの中央まで歩く。
ファンの子たちが、ルンルンと肩を弾ませ俺についてくる。
競技の集合場所には、由乃さんの姿が。
よし!
俺はこの時を狙っていたんだ。
彼女に接触するために。
自らの手で、幸せを掴み取るために。
ポケットに忍ばせてある、2つ折りの小さな紙。
さっと手の中に隠し入れる。
俺は由乃さんの前に進み、地面にしゃがみ込むと、何かを拾ったふりをして、ポケットに隠していた紙を差し出した。
「由乃さん、この紙を落としたよ」
「……えっ?」
まさか俺に話しかけられるとは、思わなかったんだろう。
生徒が周りにウジャウジャいる状況で。
俺の目の前に立つ由乃さんは、動揺で目を泳がせていて
この紙は何?
なんでわざわざ接触してきたの?
無数のハテナが、彼女の頭の中で飛び交っている模様。



