「そうなの?キドナ国にはなかった?」 「あるかもしれませんが、私は王都から出たことがなくて。こんなにたくさんの水は知らなくて、そのちょっと、あの」 「怖い?」 唇を噛みしめたまま青い目を潤ませてジオを見上げたステラは、こくんと一つ頷いた。 ジオは騎士団連中の中では背の高い方ではない。だが、ステラからすれば十分高身長で、ジオを見つめれば自然と上目遣いになる。 (潤んだ瞳、上目遣い……) ジオはステラの、一挙一動が好みど真ん中で真顔になるしかない。 (可愛いな、この子)