泣きっ面に恋々!─泣き虫な身代わり花嫁と、泣き顔フェチな純真王子の恋々な結婚事情─


抱き合う女性たちからジオは花嫁を取り上げた。


「独り占め禁止だぞ、ジオ」

「どこか行くの?」

「ちょっとね」


母と幼馴染を置き去りに、赤いドレスに身を包んだ花嫁を抱えたジオは、空への見えない階段を上り始めた。


結婚式に終わりを告げて空へ空へ駆けていく。


カンカン足音を鳴らして、星空を高く上り詰めていくジオの首にステラは抱きついた。

結婚式の観衆はどんどん遠ざかった。