ジオは縋るように握られた手が愛しくて優しく何度も握った。
「母がメイドになれば食べていけるというので、メイドになって。
ユア王女が身代わりに嫁げというので嫁ぎました。
ジオ様を殺せと言われてそうして……
私には、私がありませんでした」
ステラの声が沈んでいくが、ステラの手は力を失っていなかった。ジオは頷いて、ステラの白頭を撫でて続きを待った。
ジオが聞いていると全身で伝えてくれて、ステラは安心して口を開く。弱くて俯いてばかりのステラにジオはいつだって真摯で優しかった。
そんな彼を、ステラはとても、好きだった。



