ステラはきちんとくちばしマスクを付けて、教えられた大蜘蛛がいないルートを通って、澄み切った青々湖に来ていた。
泣き腫らした目で湖畔を見つめて、また膝を抱えてさめざめと泣く。
(早く泣き止まなきゃ、なんとかしなきゃ……ジオ様もサーシャ様もルキナ様も、みんな心配してくれてる。心配かけちゃいけないってわかってる、けど)
ぎゅうぎゅう膝を抱える腕に力を込めて、ステラは思考に埋まった。
ステラの肩の上にすっと赤い鳥が舞い降りる。彼も泣き続けるステラにずっと寄り添ってくれていた。
「鳥さん、私、早く泣き止みたい。でも、でもね、お母さんがもういないって思う度に、ずっと悲し……ッ」



