泣きっ面に恋々!─泣き虫な身代わり花嫁と、泣き顔フェチな純真王子の恋々な結婚事情─


ユア王女の護衛たちは盾魔法に捕まって動けないまま、忽然と姿が消えたユア王女をきょろきょろと見回した。


「あなた達、何を言ってますの?私はここにいますわよ?」


ユア王女は一歩もその場を動いていないのに、その場から『消えた消えた』してしまった。


ユア王女はもう、ジオ以外の誰にも知覚できない。


「狭い箱に一生拘束するだけにしようと思ったんだ。ステラも見てたから。あんまり酷いのもどうかと思って」


優しさを捨てたジオの瞳は冷たく、無に近かった。