泣きっ面に恋々!─泣き虫な身代わり花嫁と、泣き顔フェチな純真王子の恋々な結婚事情─


泣き狂うステラを抱き締めたジオの頬に、一筋の涙がこぼれた。


ジオは初めて本物の人間の悪意を目の当たりにした。


(わかりあえない)


永遠にわかりあえない人間がこの世にはいることを、ジオは学んだ。


(守りたいものを守るためには、優しいだけじゃ……絶対ダメだ)


ジオの父親、国王レオナルドは、カルラ国民の尊厳を守るために穏便な道を捨てた。


ステラの母親は、ステラの未来を守るために自ら命を捨て去った。


ジオは、ステラを守るために、

優しさを捨てる。


それこそがジオの優しさの極地だ。


『やるときは、容赦なくやれ。じゃないと奪われて取り返しがつかない』