「汚いから燃やしたわ。ナイフで首を切り裂くなんてあんな血みどろの汚い死に方して、その紙切れにも血がついてた。疫病でも移ったらどうするの?」
「燃やした……」
ユア王女の惨い行いに、ステラは彼女を掴んだ手から力が抜けた。ステラの隣に立ったジオが、ステラの肩を抱き寄せてユア王女を睨みつける。
「どうして弔わなかった?あんな状態になるまで放置するなんて信じられない」
「あら、初めまして。義理の弟君?男前で驚いたわ。私が可愛がってあげても」
「質問に答えろ」
カルラ国では、いつも煌いていた紫色の瞳から光が抜け落ちた。
ジオの暗い瞳に、ユア王女は一瞬背が冷たくなる。だが、扇子で口元を隠して不遜に笑った。



