夫婦の寝室で着替えを済ましたジオは、ステラの持ち物である一本針時計の前でパチンと一度指を鳴らした。


「一応、ね。何もないなら、それでいい」

「ジオ様?」


ステラもドレスを脱いで普段の様相を取り戻すと、ジオは安心した。


伝統衣装の赤さと丈の短さはジオを乱して仕方ない。落ち着いたステラの方が落ち着いて愛せる。衣装はまた今度、落ち着かなくていい夜に着てもらうことにする。


「ステラ、キドナ国まではレオの風魔法で送ってくれるからすぐ着くよ」

「風魔法で、送る?」