泣きっ面に恋々!─泣き虫な身代わり花嫁と、泣き顔フェチな純真王子の恋々な結婚事情─


今この瞬間も、祖国の母は人質の身だ。もう命の期限が迫っている。救う手立てがないのに、自分だけ居心地良くはいられない。


会話の合間にさっと顔を曇らせてしまうステラの手を、サーシャは優しく握った。


「ステラちゃん。ジオとはどう?仲良くやれてる?」

「誰もが聞きたいところ。謎に包まれたステラの本音」


ステラは二人の問いに、目にウルウル涙を浮かべた。


((泣いちゃった?!))

「わ、私、ジオ様に申し訳なくて」

「お、落ち着いてステラちゃん!」


耐えていた涙はすぐに決壊してしまい、サーシャはステラの涙を拭くのに忙しかった。


「何やったんだよジオの奴。無理に襲った?できそうもないけど」