泣きっ面に恋々!─泣き虫な身代わり花嫁と、泣き顔フェチな純真王子の恋々な結婚事情─



ステラは帰りかけていた体を押されて、サーシャが働く調理場の前まで連れていかれた。

ルキナが大きな声でサーシャを呼ぶと、サーシャが薄紅色の髪を靡かせて颯爽と現れた。


「あー!ステラちゃん!私の娘ー!!良かった来てくれて!待ってた!」


ステラは無償の愛で迎えてくれるサーシャの胸に抱き寄せられて、優しい胸にこてんと顔を預けてしまう。


サーシャとルキナは無抵抗で甘えるステラを見て、顔を見合わせて笑った。


サーシャはステラを椅子に座らせて、三人でベーコンシッチューを食べて、次々とステラに話しかけた。


「ステラちゃんのお母さんのレシピ、騎士団でも人気メニューよ?」

「私も好き。美味いよなこれ」

「あ、ありがとうございます。母も喜びます」


ステラは溌剌とした女性二人に挟まれて、居心地が良かった。


でも、この居心地の良さが罪だった。