泣きっ面に恋々!─泣き虫な身代わり花嫁と、泣き顔フェチな純真王子の恋々な結婚事情─




(あんな光満ちた場所に、私は相応しくない……!)


己の愚かしさに耐えられなくなったステラは、走って食堂を抜け出した。


ハチャメチャに走ったつもりだった。


だが、ステラが知っている道など少なく、最後には夫婦の寝室にたどり着いていた。


息を荒げたステラは寝室のバルコニーに飛び出して、柵をひっつかむ。柵の縁に額をゴンゴンぶつけて猛省した。


(絶対に無理。

ジオ様を殺すなんて絶対に無理。

あんなに優しい人たちを悲しませるのも無理)