泣きっ面に恋々!─泣き虫な身代わり花嫁と、泣き顔フェチな純真王子の恋々な結婚事情─


サーシャに甘えるステラを見つけた誰もが、ステラの白頭をわしゃわしゃ搔きまわして親愛の証を置いて行ってくれた。


異国から来たステラの寂しさを誰も茶化さず労わってくれる。


優しいカルラ国の人たちの愛を受けて、ステラの目に涙がせり上がった。


サーシャに抱っこされてじっとするステラの頭をジオが優しく撫でて笑う。


あまりに綺麗なものの中にいると、自分の醜悪さが浮き彫りにされてしまう。


(こんな素敵な人たちに愛されて育ったジオ様を暗殺しようだなんて私……最低だ)


談笑が飛び交い、穏やかな時が過ぎる和気あいあいとした食堂の中で、ステラがサーシャの胸をぐっと押した。


「ステラちゃん?どうかした?」

「あの、今日はありがとうございました!もう寝ます!」