泣きっ面に恋々!─泣き虫な身代わり花嫁と、泣き顔フェチな純真王子の恋々な結婚事情─



流れるように食事が始まり、酒が組み交わされて、笑いあう声がステラの周りに溢れた。


サーシャはいつまでもステラを抱っこしたまま離そうとせず、ジオはその隣に座ってやかましい仲間たちと笑っていた。


(どうして誰も、私がサーシャ様に抱っこされていること何も言わないんだろ……こんな、赤ちゃんみたいなことして)


ステラはサーシャの温かい胸に押し付けられて、いい年をしてこんなことして恥ずかしい。なのに、どうしても温かい腕から出て行きたくなかった。


(私をみんなで甘やかせてくれてる……みんな、すごく、すごく優しい人たち)