泣きっ面に恋々!─泣き虫な身代わり花嫁と、泣き顔フェチな純真王子の恋々な結婚事情─



「あ、はい……どうぞ」


自分だけとは言えず、ステラはベッドで隣に座るジオに向けて顎を上げる。白くて細い首を無防備に差し出した。

ジオの大きな両手がステラの細い首全体を軽く覆ってしまう。


(細い……力入れたら折れそうなんだけど)


ジオは力を入れないよう細い首に両指を絡めて、首筋を指でなぞる。ステラの首の後ろで切りそろえられた白い髪をかき上げて産毛が柔らかいうなじに触れて。紫の瞳で舐めるように覗き込んだ。


(も、ものすごい見られてる……視線も触れる手も熱い)