泣きっ面に恋々!─泣き虫な身代わり花嫁と、泣き顔フェチな純真王子の恋々な結婚事情─


階段を上って行くと、ジオがステラを手招きする。


「ステラここに手かざして」

「こうですか?」


また石の壁に文様が刻まれていて、ステラがそこに手をかざすとパッと明るい光が弾けた。


「これは光魔法。夜中に照らしてくれて便利」

「すごい」

「さて次は何でしょう?」

「まだあるのですか?」

「音楽が鳴ったり、いきなりドアが出てきたり、シャボンの玉が出てくる魔法なんかもあって、種類は数えきれないよ?」


ケラケラ楽しそうに笑うジオに、ステラは驚いてしまう。キドナ国では壁に落書きなんてしたら罰金に刑罰が下る。


「みんな好き勝手イタズラしてて、毎日勝手に増えて減って誰も管理してないから」