泣きっ面に恋々!─泣き虫な身代わり花嫁と、泣き顔フェチな純真王子の恋々な結婚事情─



(またため息。ステラのあの一本針時計って、なんか違和感あるんだよな)


普通に帰宅したジオだったが、ステラは考え事に夢中で背後に立つジオに気づかなかった。


一本針時計を見つめるステラはいつも困り眉だ。


わざわざ祖国から持ってきた数少ない荷物の一つだ。大切なものに違いないというのに、ステラの瞳にはまるで愛しさが映っていない。


(あの時計なんだろう)

「わ!ジオ様!お、おかえりだったのですね」