この一本の針が一周するまでに暗殺をするように命じられている。もうすでに、時計の針は四分の一を過ぎてしまった。
(ジオ様の暗殺に成功したら、この時計の一番上についている赤いスイッチを押すんだよね)
どういう理屈かはわからないが、この赤いスイッチが情報を伝達するらしい。
日々、機械化が進むキドナ国では一般人には用途不明な機械が発明され続けている。下々のものであるステラにはこの機械の仕組みはまるでわからない。
だが、時計の針が刻々と進んでいることだけはわかった。
「お母さんに手紙、届いたかな」
ジオにカルラ国での手紙の仕組みを教えてもらい、キドナ国で人質になっている母に手紙を書いてみた。
だが返事はない。
人質の母に手紙が届くのかどうかは怪しいところだと、ステラも予想していた。



