立ち上がってジオの銀髪をごしごし撫でた団長は、シャボンの玉を指で突いて弾けさせて遊び始めてしまった。
「精神にも成長痛ってのがあるからな。キツいのは当然。気張れよ、若人」
「努力中……」
ジオはニッと笑う団長を残して、広場から出て行った。
ジオの背中を見送った団長は、シャボン玉の薄くて透明な膜を通して澄んだ青空を見上げる。
(子兎嫁ちゃんがジオの唯一になれたら、いいんだがな)
告白してくれた子全員に、真摯にお断りしてカルラ国女性の初恋を山のように摘み取ったジオは、みんなに優しかった。
みんなに優しくて、
みんなを平等に好きなジオ。
そんな彼が誰かに特別に執着し、エゴを育てることを団長は願っていた。