岸辺に戻って手を離すその瞬間、名残惜しいと思ってしまったステラは愚かな自分に嫌悪した。


(暗殺する相手と、もっと手を繋いでいたかったなんて、ほんとバカ……!)

「ちょっと休憩しよっか?俺、お昼ご飯持って来たから!」


ジオに導かれて岸辺に戻り、ステラはサンドイッチを持たされている。

何から何まで準備万端のジオにおもてなしされて、お姫様みたいな気分だった。


「ステラ、美味しい?」

「あ、はい、とっても」

「良かったー!」


ジオは絶え間なく機嫌よく楽しそうに話してくれて、ステラと一緒にいるのは苦ではないと身体全部で教えてくれていた。


(ジオ様のことを嫌いになる人なんて、この世にはいないだろうな)

「あ、ステラ。鞄に水筒入ってるから取ってくれる?」

「はい」