(ま、まだ何もしてないのに泣いてる!)


初対面の花嫁ステラを前にして、夫となる王太子ジオは仰天した。

だって、その涙があまりにも。


(可愛い)


光降り注ぐ王城の一番高い塔の一室、数人が見守る小さな結婚式。

結婚式用の真っ赤なドレスを着たステラの青い瞳には、大粒の涙が今にも零れ落ちそうなほどに溜まっている。


(え、可愛い?酷くない俺?泣いてて可哀想とか思うところじゃない?!)