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 このタイミングで転校生?

 そりゃ、無くは無いだろうけど…。
何かやったんじゃないの?
 学校に居られなくなるような何か。

 まずは、そう考えた。

 だけど。

 先生の説明は、お決まりのパターン。
「お父さんの転勤で…」
 っていうやつ。
 そんな事より、私以外の、殆どの女子が色めき立っていた。
「いいんじゃない?」
「イケてるよね」
 囁かれている声。
 ちょっと切れ長のきつい目をした、すっきりしたな顔立ち。
 身長もそれなりに高いし、確かに悪くは無い。特に愛美がうっとり見ているのが分かった。 
 黒板に書かれた、脇田里美。名前に合っているかな。

 転校生は、みんながはじき出した私の席の隣に、必然的に座ることになった。
 そんなに睨まれても、しょうがないでしょう。
 私の隣を空けておいたのは愛美達じゃない。

「おっ。頼むな」

「あ…うん」

 自然な笑顔についつられて微笑んでいた。


  それから、ふと気付く。
 佳耶達が不機嫌になっていること。


 脇田君は、驚くほど気さくな人だった。
 転校した先で、こんなに気後れしないなんて、きっと、人に無視されたり、裏切られたりした事はないんだろう。

 そう思うと、顔の良さより、そのことが気になって、イライラしてきた。