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 佳耶が言うなら、何でもやった。
 言われるままオヤジと会ったし、ヤッたし、言われるまま金は全部渡した。

 その後、カラオケなんか、私も一緒に行くこともあったけれど、殆ど、金を渡せば、その場に私だけ置いていかれた。
 私は一人、とぼとぼ帰る。ただ、金が足りないと携帯で呼び出されて、皆で楽しんだ後、呼び出された先に、また私一人置いて行かれた。そこで孤独の恐怖と死ぬほど味わうのだ。

 だから、翌日、学校で皆に会うと、気に入られようと頑張る。ただそれだけの単純な事だ。


 皆に囲まれている私の肩を、突然、杉原君が抱いてきた。
「いいな。俺にも貸してくれよ」
 私の事?

 佳耶がその手を払いのけながら
不機嫌に言う。

「嫌よ、啓一。そっちはそっちでやらせればいいでしょ」

「駄目だよ。俺は嫉妬深いの」

「ばっかみたい」

 皆笑っていたけれど、私は分からなくて、見回した。

「わかんなくていいのよ」
 愛美に頭を撫でられた。

「でも…」
 私が聞こうとすると、佳耶が話を変える。

「ああ、そうだ。あれ見せてあげようよ」
 佳耶が鈴に、何か合図した。
 すると、鈴が携帯の写真を見せてくれた。私の写真、オヤジと一緒に居るところだった。
 何枚も有った。


 私がホテルから出てくる度に撮っていたんだ。

「これ、親に送る?」
 鈴が、笑って言う。

「それとも、うちの親に見せようかな。
そしたら、梨沙ちゃんを見習ったら、
   なんて、言わないでしょう」

 鈴…。
 
 友達じゃなかったんだ。最初から。

   間違えていたのは、私だけだった。

「だから、夏休みも一緒に遊ぼうね」
 佳耶に後ろから抱き締められた。
 

 佳耶に言われるままに過ぎた夏休み。
それがもうすっかり、日常になった。


 


 そして…
  夏休み明けに、転校生が来た。