記憶にはない、その過去が少しだけ思い出せそうで、それでも思い出せなくて、もどかしい。 血がうずくような、気配がする。 『私は、……』 その声はまるで前世の自分が目を覚ましたかのように、近い場所で響いた。 女のようで、男のような、若いような、老熟したような何の判断も付かない声。 聞こえたというよりは、感じた。 その後の記憶は、ない。 *