その日、娘の誕生日を迎えた彼は、娘にプレゼントをあげようと歩いていた。


と言うよりは、仕事帰りに飲んでいたときに思い出して、気付いたときには店がもう全て閉まっている、と言うようなありさまで、何かを買うには、コンビニくらいしかなかった。


どうしようか。


プレゼントを買う店もさることながら、最近は会話さえもぎこちなくなり、娘の好きなものさえもよくわからない。


何をあげれば喜ぶのかなんて知る由もない。


昔は「パパ大好き」なんて聞いていた言葉も、いつの間にか「ねぇ」と、その単語さえも呼ばれなくなり、会話さえもなくなってきた。


中学生。


それはよくいう反抗期、だとか言う物が来易い時期で、心身ともに子どもから大人へと変わる複雑な時期でもある。


仕方ないといえば仕方ないのだろうが、幼い頃から男手一つで育ててきた愛娘が段々と心を開いてくれなくなったことは少し寂しくもある。